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2007年05月22日〜2007年06月01日
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   更新:2007/06/01
 2007年05月22日〜2007年06月01日新聞に掲載された関連記事
2007年5月29日付『東京新聞』
 国際政治学者 中西 寛さん Q憲法改正、加速しますか?
 「戦後レジーム(体制)からの脱却」を掲げる安倍政権の下、憲法を改正する手続き法が成立し、安倍晋三首相は憲法改正を夏の参院選の争点に掲げる意向を表明しています。国際政治学者で京都大公共政策大学院教授の中西寛さんと、政治・外交の動きを振り返る「月例時評」。今月は憲法改正問題について考えました。記者・豊田 洋一

 豊田 安倍自民党が国民投票法(憲法改正手続き法)を成立させたのは、日本国憲法は米国の押し付け憲法であり、それに代わる自主憲法の制定を党是としてきたためです。しかし、実際に憲法改正の必要性はあるのでしょうか。

 中西 施行から六十年がたち、日本国民の過半数は日本国憲法を基本的には受容し、社会的に定着しています。押し付け憲法論は、今の時代には説得力はありません。国民投票法は、必要に応じて憲法改正を提起できる手続きを整備した点では必要な法整備ですが、何をどう改正するかは、これからの議論だと思います。

 豊田 憲法改正を参院選の争点とする安倍首相の方針に、同じ与党でも公明党は反対していますし、自民党内にも異論があります。改正を争点とすることは妥当ですか。

 中西 憲法改正には、衆参両院でそれぞれ三分の二以上の賛成が必要ですから、非常に広範な国民的コンセンサスがないと実現しません。そういう意味では、改正を一回の選挙、特に参院選の争点とすることは、率直に言って、適切ではないでしょう。自民党が野党、特に民主党との違いを明らかにする選挙戦術をとれば、改正が非常に明確な争点になるのは確かですが、公明党は憲法問題より、福祉の充実を実績としてアピールしたいでしょうから、憲法を争点にすれば、与党の結束力が問われることになります。ただ、公明党に、安倍首相を正面から阻止する力があるとはいえないのも事実です。

 豊田 改憲が争点になれば、自民、公明両党の違いも浮き彫りにします。連立政権への影響はないのでしょうか。

 中西 水面下である種の軋轢(あつれき)が高まる可能性はあります。女性層の支持基盤を考慮して、今の憲法に条項を加える「加憲」の立場をとる公明党からすると、安倍さんが主張する正面からの憲法改正論には、ちょっとついていけないところがあるのではないかと思います。安倍さんが憲法問題をどういう形で取り上げるかにもよりますが、連立関係がすぐにガタガタすることはないにしても、ボディーブローのように影響を与える可能性はあります。

 豊田 自民党は当初、憲法改正手続き法の議論を民主党と協調して進めてきましたが、参院選をにらんで徐々に対決姿勢を強め、衆院では採決を強行しました。こうした姿勢は逆に、改正の発議を困難にするのではないでしょうか。

 中西 その問題では、安倍自民党よりも、小沢民主党により大きな責任があると思います。一般的な国民投票も対象にした民主党の対案は、本来の趣旨とは離れ過ぎ、もともと与党案つぶしという感じがありました。審議でも徹底抗戦の姿勢が見えましたから、与党側が採決を強行したのはやむを得なかった。ただ、採決強行が実際に改憲を発議する際の障害を一つ増やしたのも事実です。次の国会で憲法審査会が設置され、今後三年間は付帯決議で指摘された法律の問題点などを議論しますが、その過程であらためて合意が形成されるかどうかは、ちょっと後戻りした感じがします。

 豊田 一方、外交面では、安倍首相は就任後初めて訪米し、ブッシュ米大統領と同盟関係の強化を確認しました。今回の訪米に対する評価は。

 中西 外交的には非常に整った演出、シナリオをこなしたという印象が強い。大統領と長時間、二人で話をしたり、米議会の日系議員に会ったり、米海軍病院を訪れたり、演出上は、小泉・ブッシュ時代と変わらない親密さを訴えられた気がしますが、心と心のふれあいがあった感じは受けません。例えば、北朝鮮問題では、首相が拉致問題を提起し、大統領は人道的な問題であるとして、心から関心を持っていると答えたわけですが、拉致問題を、米国による北朝鮮テロ国家指定解除の条件とするとは、確言しなかった。大統領は慎重に言及を避けていますし、その後の報道によれば、ライス米国務長官は二つの問題の関連を否定しました。やはり米国としては、イラク問題や対立する議会対策に手いっぱいで、北朝鮮、イランに対して強硬姿勢一本やりではつらいという考えが、国務省中心に強まっている気がします。ブッシュ政権が末期に近づくにつれ、米政府が外交方針を変えつつある中、日本がどう対応すべきかについて、安倍政権はまだ明確な方針を打ち出せていません。

 なかにし・ひろし 1962年、大阪府生まれ。87年京都大大学院法学研究科修了後、米留学を経て、2002年同科教授、06年から京大公共政策大学院教授。国際政治学者故高坂正堯氏に師事。著書に「国際政治とは何か」(中公新書)。
2007年5月29日付『Pressnet』
 憲法論議新たな段階 国民投票法成立をめぐる社説
改憲ありきには警戒も
 憲法改正の手続きを定めた国民投票法が十四日成立した。施行は三年後で、それまでは改憲案の提出、審査はできないが、次の国会からは衆参両院に憲法審査会が設置される。安倍晋三首相は夏の参院選で改憲を争点にする構えを示しており、憲法論議は新たな段階に入った。成立に前後して五十本を超える社・論説が取り上げた。

国民の意思、問われる時

 〈新段階に〉山陽「国民投票法は、改憲の是非を主権者の国民が選択する手法の重要な取り決めである。成立によって改憲が現実的な政治テーマになったといえよう。国民一人一人がこの問題に真剣に向き合わなければならない時代を迎えた。その意味をしっかり認識する必要があろう」、神戸「手続き法が成立したのを弾みに今後、具体的な動きが急ピッチで進む可能性がある。改正するのか、しないのか、いよいよ国民の意思が問われる段階に入ることを十分、認識しておきたい」、新潟「憲法改正論議は、今後ますます高まろう。国民はそれと真正面から向き合うことを求められる。憲法は『国民主権』をうたう。国民が主人公だという大原則を自覚すべき時だ」、毎日「手続き法の制定が即、改憲につながるとも考えていない。今後、避けなければならないのは、具体的、現実的な議論もなしに『改憲か、護憲か』と単純に色分けするようなムードが広がることだ。大切なのは国民が判断するに足る冷静な論議の積み重ねである。(略)憲法問題が新たな段階に入ったことを正面から受け止めたいと思う」。

 〈具体論を〉読売「もはや『憲法改正の是非』ではなく、変えるとすれば、どこをどう変えるのかを論じるべき時だ。その観点から、民主、公明両党も条文化を急いでもらいたい。各党が具体的な改正案を明示し、憲法改正原案の基本となる要綱策定の作業を促進することが大事だ。関連の法整備にも早急に着手する必要がある」、日経「国民に対する発議原案の審議は三年間凍結されるが、発議原案に至らない要綱、骨子の審議まで凍結されるわけではない。自民党はすでに新憲法草案を一昨年とりまとめた。民主党や公明党も速やかに憲法改正に関する具体案をとりまとめ、それを要綱や骨子の形で国会の憲法審査会に提出すべきである」、産経「国民投票の実施に備えて詰めておくべき課題は多い。新憲法が国民参加の下で制定される過程で、中立性を求められる公務員にどこまで政治的活動が認められるかという問題もその一つだ。(略)参院選後、衆参両院に置かれる憲法審査会が新しい議論の舞台となる。国民投票実施に向けた環境整備にしっかり取り組んでほしい」。

 〈問題残る〉中日・東京「衆院の採決強行に続いて、参院の審議も多くの問題を提起した。それが採決にあたっての十八件の付帯決議に表れている。(略)与党は現行憲法九六条の改正条項を具体化したことで『国民の権利が確立した』と誇る。そうだろうか。むしろ『改憲ありき』がぎらつくことに世論は慎重な運びを求めたのではないか」、北海道「平和主義を掲げてきた戦後の日本が大きくかじを切ったと言えるだろう。(略)問題点は、数え上げるのに苦労するほどある。極めて重要な議論として、憲法を変えるというのに投票率がいくら低くてもいいのかということがあった。あまりに低い投票率で憲法が改定されるなら、承認自体の正当性が問われる」、西日本「国民投票法の成立を改憲への一歩と位置付けるかのような自民党の姿勢には、強い違和感と危惧(きぐ)を覚える。国民投票法は、憲法改正が国会で発議された場合にその賛否を問う国民投票のルールを定めた手続き法にすぎず、決して改憲のための手段ではない。ここであらためて、そのことを確認しておきたい」。

争点あいまい化許されぬ

 〈参院選は〉信毎「差し当たりは夏の参院選である。憲法を争点に掲げる安倍首相の姿勢には賛否両論あり得るとしても、首相が争点化を明言している以上、改憲論議の行方は選挙の結果に左右される。間違いのない選択が有権者に求められる」、朝日「首相は憲法を争点にするというのならば、自衛軍を持つことの意味、自衛隊との違いをもっと明確に語る義務がある。『戦後レジームからの脱却』といった、ぼんやりした表現ではすまされない。投票法ができたといっても、自民党草案や自衛軍についての国民の論議は進んでいない。参院選ではそこをあいまいにすることは許されない」、中国「参院選など国政選挙の争点になった場合、国民にも厳しい覚悟が求められる。あのムードに流された『郵政選挙』の二の舞いを演じてはならない。有権者には『憲法改正まで託したつもりはない』との思いがあるかもしれない。だが、現実には、あの結果が国民投票法の成立に少なからず結び付いたのだから」。
2007年5月28日付『公明新聞』
 参院選「未来に責任」掲げ勝利 医師確保 女性、地方に配慮
集団的自衛権 憲法解釈の変更認めず
テレビ番組で太田代表
 公明党の太田昭宏代表は27日午前、フジテレビ系「報道2001」、テレビ朝日系「サンデープロジェクト」の両番組に出演し、憲法改正や、集団的自衛権の行使に関する論議などについて、大要、次のような見解を述べた。

【憲法改正問題】

 一、(憲法改正を参院選の争点にするかどうかの是非について)今は、憲法改正で何かを国民に問い掛けている段階ではない。

 憲法改正を争点にするといっても、「憲法をこうしますから、どうですか」と、(具体的な)中身を問わなければ意味がない。改正の中身について(自民党などと)合意しているわけではないから、(参院選の)争点にはしない。

 (憲法改正の手続きを定めた国民投票法に基づいて改正原案の提出・審査ができない)3年間は衆参両院の憲法審査会で十分、論議を行う。 

 一、(公明党の「加憲」方式について)現在の憲法は良い、定着している。その上で、環境権やプライバシー権など足らざるものを補強していく「加憲」が公明党の立場だ。(自衛隊の存在を明記するかどうかについては)ほとんどの人が自衛隊は合憲だと解釈しながら存在している。現在の自衛隊をそのまま認めるという書き方があってもいいのではないか、など加憲論議の対象としている。

【集団的自衛権の研究】

 一、(安倍晋三首相の有識者懇談会での議論について)安倍首相は、憲法解釈を変えるものではない、これまでの国会論議などを十分尊重すると国会で明言。枠がはまった上で、集団的自衛権と個別的自衛権の間のグレーゾーンの検討であって、なし崩し的に集団的自衛権の行使を認めるものではない、と私にも明言している。

 一、(米国に向かう可能性がある弾道ミサイルの迎撃など4類型の事例に関する研究について)集団的自衛権の研究ではないと思っている。個別自衛権でできるのではないかというところもある。(PKOにおける)武器使用(基準)の拡大や、国連の集団安全保障でいけるところもある。4類型の研究は何ら否定しないし、具体的に提起して議論することはあってもいい。しかし、集団的自衛権の憲法解釈を変えていくという意図を持って議論することがあってはならない。

【参院選への政策】

 一、(参院選で公明党が訴える政策について)「未来に責任を持つ政治」として、「国民の命」「子どもたちの未来」「国民の安全」「暮らしの安心」「勢いのある国づくり(経済、地方の活性化)」「平和」の六つを掲げた。

 一、(「国民の命」に責任を持つとして掲げた「命のマニフェスト」のうち、医師不足対策について)女性医師が(出産、育児などで離職した後、職場に)戻ってこれるような措置や、院内保育所の整備など、さまざまなバックアップシステムが必要だ。また、(大学医学部卒業後)地方勤務を条件に授業料を免除する措置をとり、(地方で就業する医師を)応援したい。

【政治とカネ】

 一、(松岡利勝農林水産相の光熱水費をめぐる疑惑について)疑惑を持たれた政治家は常に説明責任を果たす必要がある。(松岡農水相は)説明は十分にされていないと思う。(民主党の小沢一郎代表の不動産所有については)説明を一応したが、どうして、そうしたお金が入ったか、疑惑は残っているのではないか。
2007年5月24日付『時事通信』
 広瀬民放連会長、「折り合うべきは折り合った」=国民投票法成立で
 日本民間放送連盟(民放連)の広瀬道貞会長(テレビ朝日会長)は24日の記者会見で、このほど成立した国民投票法が投票日前14日間の有料CMを禁止していることなどについて、「あまり規制、規制と言うべきでないのではないか。ある程度、放送事業者に任せてもらってもよかった」と述べた。ただ「折り合うべきところは折り合ってきた」とも指摘し、改めて反対声明を出すことなどには消極的な姿勢を示した。
2007年5月22日付『読売新聞』
 国民投票法成立「評価する」57%…読売調査
 読売新聞社が19、20の両日に実施した全国世論調査(面接方式)で、憲法改正の手続きを定めた国民投票法が今国会で成立したことを「評価する」は、「大いに」「多少は」の合計で57%に上った。

 「評価しない」は計34%だった。

 憲法施行から60年にわたり続いていた法的不備が是正されたことを、多くの国民が肯定的に受けとめているようだ。

 「評価する」は自民支持層では75%にのぼり、公明支持層でも6割を超えた。一方、与党と法案の修正協議を続けていた民主党の支持層でも、「評価する」50%が「評価しない」45%を上回った。共産、社民両党の支持層では「評価しない」がそれぞれ8、7割に達した。

 今後、各政党が憲法論議をさらに活発化させるべきかを聞くと、「そう思う」が「どちらかといえば」を合わせて79%に達した。「そうは思わない」は計14%だった。

 国民投票法では投票できるのは18歳以上の国民となっているが、選挙権年齢、成人年齢が18歳に引き下げられるまでは、通常の選挙と同様、20歳以上となる。

 国民投票で投票できる年齢については、「20歳以上」がよいとする人が53%を占め、「18歳以上」の30%を上回った。「どちらともいえない」は15%だった。

 年代別に見ると、「20歳以上」はすべての年代で多数派だった。70歳以上では「20歳以上」が59%、「18歳以上」が20%とその差が最も大きかったが、20歳代では「20歳以上」48%、「18歳以上」35%でその差が最も小さかった。
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