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「公開質問状」に対する
  回答についての論評
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   更新:2008/12/30
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「国民投票制度の導入、住民投票の制度改革などに関する各党の見解・政治的姿勢を問う公開質問状」に対する回答について論評します。

⇒質問状はこちら
⇒各党からの回答はこちら
 
[国民投票]
今井 一(ジャーナリスト/本会事務局長)

 自民党、改革クラブを除く各党から回答が届きました。この回答について論評します。

◆重大案件について、国民の意思を確認し政治に反映するための国民投票制度の導入に関して、民主党、社民党、国民新党、新党日本の4党は、制度導入に賛成する姿勢を明瞭にする回答でした。
 一方、公明党は「慎重に検討すべき」、共産党は「議会制民主主義の拡充が重要」と、制度導入に消極的な姿勢を示しました。両党に共通しているのは、積極的な姿勢をとれない理由として「憲法」をあげていることです。公明党はたとえ法的拘束力のない諮問型であっても事実上拘束力を有しているので「憲法改正を要する」とし、共産党は「憲法改定を必要とする改革を提起することには賛成できません」と述べています。
 これに対して、民主党、社民党、国民新党、新党日本の4党は、諮問型国民投票であれば現行憲法下でも実施可能と認識していると思われます。この問題については、学者の中でも意見が分かれていますが、今のところ諮問型ならば違憲ではないという見解・解釈が多数派となっています。
 この件で特筆すべきは新党日本の回答で、「先ずは諮問型国民投票を可及的速やかに導入し、第2段階として早期に法的拘束力を伴う国民投票の整備を目指すのが現実的対応と考えます。」と記し、法的拘束力を伴う国民投票制度の導入をも是としています。

◆発案者についてですが、スイスやイタリアのように一定数の連署があれば国民から発案できる(首相や議会に拒否権はなく必ず実施となる)というルールに関しては、新党日本のみが「前向きに検討」とし、他党は否定的です。
 なお、新党日本は「補足回答」の中で、「(国民発案の制度を)国レベルで採用している国は限定的で、欧米先進国でもスイスで憲法改正とイタリアで法律の廃止について認められている程度です。」と記していますが、より正確に記載しておきます。スイスにおいては[憲法改正]のほか[連邦法律][連邦決議][国際条約]などが、有権者5万人以上の連署などを条件に国民投票に付されます(スイス連邦憲法141条の規定)。また、スペインにおいては[法律]について、有権者50万人以上の連署を条件に国民投票に付されます(スペイン憲法87条の規定)。

◆今後、制度導入のためにどういった活動を行なう意思があるかに関してですが、民主党は、すでに法制化のための具体的な提案を「法律案提出」という形で行なっていると記すに留まっています。新党日本は、「国民投票の議論については、日本国憲法の改正議論とは別に、今後、憲法改正以外の国の重要課題についての国民投票制度の導入問題と捉え、取り組んでまいります。」と回答を締めています。国民新党は「出来る限り早い機会に法案の検討に入りたい」と記し、社民党は「この種の問題は多くの党や会派の賛成が必要です。皆様方が超党派の議員連盟を呼びかけるなどされるのであれば、賛同し参加していきたい」と述べています。
 社民党の回答の中にある「超党派の議員連盟」結成の呼びかけについて、本会がその任を担うかどうか、今後運営委員間で意見交換を重ね、できるだけ早い段階で結論を出したいと考えています。


[住民投票]
福嶋浩彦(東京財団上席研究員、前我孫子市長/本会代表)



◆住民投票に対する基本的考え方としては、民主党、公明党、共産党、社民党、国民新党、新党日本とも、住民自治などの観点からその意義を認めています。
 ただし公明党は、「代議制が民主主義の基本」という立場で、住民投票の実施には「議会の判断が必要である」としています。しかし、国と異なり自治体では、現行の地方自治法でも間接民主制と直接民主制を並立させています。間接民主制を上位とするのは、憲法の〈地方自治の本旨〉の一つとされる住民自治の観点から見て疑問に思います。新党日本は「選挙で選ばれる議員は無条件で全権委任されているわけではなく」と記しています。

◆地方自治法改正を伴う制度改革の質問は、どのような条例の直接請求でも、議会で否決された場合には住民投票の実施を義務付けるよう、自治法を改正することについて是非を訊ねたものです。しかし、質問の主旨が十分に伝わらなかった面があるようです。
 それでも、「一定割合以上の連署があれば、必ず住民投票を行なう制度に改めるべき」とした国民新党をはじめ、共産党、社民党、新党日本は、住民投票の実施に向け自治法改正が必要という立場です。社民党はすでに法改正を提案していますが、その提案の中では、過半数の連署で直接請求がされた場合、案件の賛否を住民投票で問うかどうかの「予備的投票」を行なうことになっています。リコールの住民投票が3分の1の連署で実施されることを考えても、常識外のハードルの高さだと言えます。
 また、民主党は「住民投票法」を制定するという考えです。すでに同党が提案している法案の内容を見ると、住民投票結果の法的拘束力は明確でなく、「尊重」に止まっています。これでは、法律制定の意味はあまりなく、自治体による条例の制定に任せるべきでしょう。むしろ、投票資格者の拡大などを図りながら先行して条例を制定してきた自治体の足を引っ張る結果になります。
 公明党は「今後検討」ということです。

◆法改正への今後の取り組みについては、共産党が、「議案提出権を持てる議席が得られれば、地方自治法の改正を提案する用意がある」、国民新党が「出来る限り早い機会に法案の検討に入りたい」、新党日本が「次期総選挙において『マニフェスト』に明記すると共に、議員立法に向けて、国民的論議を高める」としています。
 本会としても、今後、各党との対話と理解をより深め、地方自治法の改正を目指していきたいと考えます。




 
 
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