イヤでもわかる!
  国民投票法案
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   更新:2007/02/10
 イヤでもわかる!国民投票法案
南部義典
「そもそも国民投票法案ってどういう内容なの? 何が問題になってるの?」
与党案と民主党案は何が一致し、何が対立しているのでしょう?
これを読めば、あなたも国民投票法案がイヤでも解ってしまいます!
第1回  国民投票法案のこれまで (2006/12/15UP)
第2回  憲法審査会とは?(2006/12/26UP)
第3回  発議は分かりやすく(2007/01/10UP)
第4回  有権者に届くパンフレット(2007/01/25UP)
第5回  満18歳で成人? 将来はこんな見直しも(2007/02/10UP)
第6回  国民投票運動ができない人(2007/02/10UP)
第7回  スポットCMの功と罪(2007/03/01UP)
第8回  買収はダメ?(2007/03/01UP)
第9回  過半数の承認と投票用紙への記載方法(2007/03/01UP)
第10回  当日、投票所に行けない人は?(2007/03/01UP)
第11回  憲法改正以外の国民投票(2007/03/15UP)


第6回 国民投票運動ができない人

1.はじめに

 こんにちは。いよいよ国民投票法案は大詰めの段階に来ました。
 今回は「国民投票運動ができない人」と題し、国民投票運動の定義とその限界について解説します。
 国民投票運動が禁止される対象に関し、かつては与党案と民主党案との間で、立場の違いが顕著でした。しかし、衆院憲法特委・小委での議論を通じて、両案修正の上、以下のような合意に至ると見込まれています。
 対立論点の所在とそれがどのような理由で修正されたかについては、とても書ききれませんので、ご了承ください。

2.国民投票運動とは?

 国民投票運動とは、憲法改正案に対し、賛成又は反対の投票をし、又はしないよう積極的に勧誘する行為と定義されます。通常行われる一般的意見表明(憲法改正に関する意見の表明及びこれに必要な行為)とは区別されるべきものです。
 
 国民投票運動と一般的意見表明は、原則として自由に行うことができます。国民投票は、国民が主権者として憲法改正権を行使する重要な機会です。憲法改正権に直結し、これを実現する権利として、公共の福祉に反しない限り最大限保障されます。
 
 両者の区別は、国民投票運動規制・罰則(※1)の対象となるか否かいうことに関わります。国民投票運動が規制されることがあっても、国民投票運動に該当しない一般的意見表明は規制・罰則の対象にならないということを確認しましょう。
 
 定義上、国民投票運動の方がハードアクションを伴うかのような印象も受けますが、実際上その区別は極めて困難です。自分の意見を言いっぱなしていても、当該行為、付随行為を総合的に考察し、意見受領者との具体的な状況に鑑みるならば、国民投票運動と評価される場合もないとは言い切れません。
 
 国民投票を誰も経験したことがありませんので、今のところはこのような概念整理にとどまっています。発表、討議、演説、運動など、表現の社会学的類型としてピッタリ収まる言葉が、「国民投票運動」以外に見つかっていません。

3.規制(1) <投票事務関係者>

 投票管理者、開票管理者、国民投票分会長、国民投票長は、在職中、その関係区域内で、国民投票運動が禁止されます。違反した場合、6月以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処せられます。

4.規制(2) <特定公務員>

 中央選管の委員と職員、選管の委員と職員、国民投票広報協議会事務局職員は、在職中、国民投票運動が禁止されます。
 これらは特定公務員と呼ばれます。国民投票の手続が公正・中立に行われることを担保するために、その職務上の地位を利用するしないにかかわらず、規制の対象となります。違反した場合、6月以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処せられます。

5.規制(3) <公務員と教育者>

 公務員等(※2)と教育者(※3)は、その地位にあるために特に国民投票運動を効果的に行いうるような影響力(教育者にあっては、学校の児童、生徒及び学生に対する影響力)又は便益を利用して、国民投票運動をすることができません。
 公務員等と教育者は、日常的に多数の者に影響力を行使しうる地位にあることから、地位を利用した国民投票運動が禁止されています。
 但し、萎縮効果が及ばないよう、処罰規定はありません。
 
 また、公務員はその性質上、政治的に中立であることが求められ、公務員法(国家公務員法、人事院規則、地方公務員法、自衛隊法、警察法、裁判所法等)で一定の政治的行為が禁止されています。
 2.では国民投票運動と一般的意見表明は原則自由だと述べましたが、両者の区別が曖昧である中、これを行った場合に、政治的行為として原則、公務員法違反となってしまうおそれがあります。国民投票法違反にならなくても、形式的に公務員法違反になってしまい、国民投票運動と意見表明が原則自由であることが法的に担保できないという事態を招くおそれがあります。
 
 そこで、公務員による国民投票運動と意見表明に関しては、公務員法の政治的行為禁止規定を適用しないこととされています。

 
国民投票運動
一般的意見表明
意義
憲法改正案に対し、賛成又は反対の投票をし
又はしないよう積極的に勧誘する行為
憲法改正に関する意見の表明と
これに必要な行為
公務員法上の政治活動禁止規定
適用されない
適用されない
地位利用
規制される

6.その他

 かつて、外国人、外国法人、日本国政府について、国民投票運動の規制対象とすべきとの議論がありましたが、法制化は見送られています。


(※1) 国民投票運動の定義は、投票事務関係者・選管職員等の運動禁止、公務員等・教育者の地位利用禁止、買収・利益誘導罪、スポットCM規制に関わります。
(※2) (1)国家公務員、(2)地方公務員、(3)特定独立行政法人、特定地方独立行政法人又は日本郵政公社の役職員、(4)国民生活金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、公営企業金融公庫又は沖縄振興開発金融公庫の役職員を指します。なお、(4)公庫の役職員には、公務員法の政治的行為禁止規定は及びません。
(※3) 学校教育法上の学校長、教員を指します。


※私のブログでは「憲法改正手続法案」という略称を用いていますが、本連載ではあえて、通称である「国民投票法案」とさせていただきます。
<<弟5回 満18歳で成人? 将来はこんな見直しも 第7回 スポットCMの功と罪
(予定) >>
第1回  国民投票法案のこれまで (2006/12/15UP)
第2回  憲法審査会とは?(2006/12/26UP)
第3回  発議は分かりやすく(2007/01/10UP)
第4回  有権者に届くパンフレット(2007/01/25UP)
第5回  満18歳で成人? 将来はこんな見直しも(2007/02/10UP)
第6回  国民投票運動ができない人(2007/02/10UP)
第7回  スポットCMの功と罪(2007/03/01UP)
第8回  買収はダメ?(2007/03/01UP)
第9回  過半数の承認と投票用紙への記載方法(2007/03/01UP)
第10回  当日、投票所に行けない人は?(2007/03/01UP)
第11回  憲法改正以外の国民投票(2007/03/15UP)

筆者プロフィール
南部 義典(なんぶ よしのり)
1971年岐阜県生まれ。京都大学文学部卒業。同大学院在学中に、国会議員政策担当秘書資格試験に合格。2005年から、憲法改正国民投票法制の論点整理作業に携わる。自身のブログ「南部義典の国民投票つれづれBlog」(http://blog.livedoor.jp/nambu2116/)を日々更新中。
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